自室のベッドに身体を沈めると、規則正しい時計の音に耳を傾け、その時を待った。
 ああ、ほら、君の生まれた日がやってくる よ。






 ――カチ。
 時計の針が、一際大きく響いた気がした。

「……誕生日、おめでとう」
 呟いた声に、愛しい声は返らない。だけど、言わずにはいられなかった。
 一年の中で最も大切な日。
 この日を迎えるために、残りの日々を過ごしていると言っても、過言ではない。

(誰が君のことを忘れようと、僕だけは忘れない)

 腕で目を覆い、彼女の姿を瞼の裏に映し出す。
 時間の止まってしまった世界の中、変わらない姿で笑っている彼女を思うたび、愛しさと切なさの両方を味わうこととなった。どうしたって切り離せない感情は、この心を生かし、時には殺しもする。

 だけど――僕は、こうして今を生きている。


「ありがとう」
 産まれてきてくれて。僕と、出会ってくれて。
 それが君に何を齎したかなんて、あまり考えたくはないけれど。
「ずっと、好きだよ」
 今までも。これからも。揺るぎない想いは、全て君へと向かっている。

(フレ、イ)

 声になり損ねた名をのみこみ、思考の海へ溺れると、そのまま過去を遡る。
 そうして、意識を手放した後も君に逢えたらいいのに。



 ――せめて、今日ぐらい は。






捧げる言葉
( この身体の代わりに どうか 届いて )
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年始辺りに、今年のフレイ誕生日は絶対祝う!って決めてたので、どうにかこうにか捻り出しにきまし た。本当はフレイも出てくるキラフレ話を予定してたんですが、長くなりすぎて結局間に合わなかっ…orz でも代わりにいちゃいちゃしてるキラフレ絵をざかざかと描いたんでそれを15日中にアップ出来ればなーとか。うん。何がともあれ、本当にうまれてきてくれてありがとうございました!ずっと好き!

10.03.15

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